遺産の分け方は遺言の有無により違いますか?
執筆者
弁護士 山本 哲也
A 遺言の有無により、遺産の分け方は大きく違います。
1 遺言がある場合には、原則として、遺言の内容に沿って相続人等が財産を取得します(民法964条)。
例外的に、遺言から漏れた財産がある場合や、遺言を使用しない場合には、遺産分割協議により遺産を分割することになります(民法907条1項)。
2 遺言がない場合には、法律で定められた相続人が遺産を相続することになり(民法886条~890条)、相続人が複数の場合、全員の共同相続となります(民法898条)。
その共同で相続した相続財産を、具体的にどのように分けるか話し合うのが遺産分割協議です(民法907条1項)。
遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。
遺産分割協議に、相続人で参加しない人がいると、その協議は無効になりますので注意しましょう。
遺言がない場合であれば、分け方は任意にできるので、相続人の中の1人が全部を取得するというようなことも可能です。
もちろん、どのような分け方をするにしても、分割協議に全員が参加してフェアな条件の下で、相続人全員が合意していることが前提となります。
遺産の取得者が決まったら、通常は遺産分割協議書を作成し、署名・押印をします。
3 遺言又は遺産分割協議書を書証として名義変更が行われ、遺産分割が完了します。
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