相続欠格や相続人の排除には手続が必要ですか?
A. 相続欠格は当事者の行いを評価してほぼ自動的に決定されるものなので、誰かが手続をしなければならないというものではありません。
相続欠格は、推定相続人が被相続人の財産を相続するのが正義に反すると感じられるような行為を行った場合、民法は、当然に相続資格を失うとした制度なのです(民法891条)。
相続欠格事由の多くが犯罪行為であり、相続の廃除などとは違って、欠格事由に該当する者は、誰かが手続をするまでもなく、相続権を失い、遺贈を受ける資格も失うのです。
廃除も同様に相続権を取り上げてしまう制度ですが、こちらは犯罪などではないまでも、被相続人に対して非行などがある場合に、相続人であっても相続をできないように家庭裁判所に請求するものです(民法892条)。
廃除は、被相続人の請求が要件のため、相続欠格と異なり、被相続人との人間関係や信頼関係を破壊するような行為であることが根拠となります。
ただし、あくまで客観的な認定がなされる必要があり、被相続人の主観的な感情が害されるだけでは足りないとされています(大阪高決昭和40年11月9日)。
なお、相続欠格も廃除も、相続資格を失った相続人は相続を受けることができませんが、その子などは代襲権をもつことになります。
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