遺産分割の概要

1.相続の流れ

電卓で計算をする税理士の手元

相続は被相続人が死亡することで開始されます(民法882条)。

まず、死亡届が出す必要があります。

保険をかけているのであれば、死亡保険金の請求の手続をします。

相続を受ける相続人が確定してから、遺産の配分を決める遺産分割協議を経て各相続対象者に配分された後、各自が所有権移転などの作業を済ませ、相続税などの国民に義務付けられた処理を完了させることで終了となります。

通常は3ヵ月から半年以内には完了するものですが、場合によっては数年に及ぶこともあります。

遺産分割協議について詳しくはこちら

例えば、相続人の所在がつかめないため捜索に当てる時間を要する場合がそれです(民法952条2項等)。

相続人が失踪などにより行方不明となっているのであればかなりの日数が必要となるでしょう。このような場合では遺産分割協議後に協議の無効を訴えられないような対応が必要です。

失踪宣告について詳しくはこちら

相続の遺産分割のためには、相続の対象となる人全員の参加が条件であり、一部の例外を除き、1人でも欠ければ無効となるのです(民法907条1項)。

遺言書のある場合と無い場合でもかかる日数には違いが出るでしょう。

遺言書の内容次第でも、処理される日数に違いが出ます。

遺産の内容によっても、その調査のためにかなりの時間を要するかも知れません。

相続に慣れているなんていう人はあまりいないと思います。

初めての相続には、戸惑うことの方が多いと思います。

大切な親族が亡くなられて相続どころではないという方もいるでしょうが、相続税などの手続には期限があります。

故人を悼むのも大事なことですが、決められた期日までに相続関係の諸手続を行わなければならないのです。

2.遺産分割協議とは

兄弟
  • 遺言書がなかったら遺産分割協議を行う
    被相続人が亡くなった際に遺言があれば、基本的にはそれにしたがって遺産を分割していくことになります。
    他方で、遺言がない場合には、相続人全員による遺産分割協議により遺産の分割方法を決めるか、法定相続分にしたがって遺産を分割することになります。
  • 遺産分割協議には相続人全員の同意が必要
    遺産分割協議の方法による場合、相続人全員の同意が必要となります。そのかわり、分割方法に特段の制限はなく原則として自由に分割の内容を決めることができます。
    法定相続分の通りにしてもいいですし、仮に相続人の誰かに不利益となるような分割内容にしても、相続人全員の同意があれば問題ありません。
    相続人の1人がどうしても遺産分割協議に参加しない場合はどうすればよい?
  • 遺産分割協議の注意点
    遺産分割協議の注意点としては、相続人の確定と財産調査をきちんと行っておく事が重要です。

 相続人の確定とは

  • 相続人の調査
    遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。
    相続人を確定せずに遺産分割協議を行っても、後に相続人がいることが判明した場合には、遺産分割協議は無効となってしまいます。
  • 相続財産の調査
    相続財産の調査をしておかないと、遺産分割協議の対象財産以外の財産が見つかった場合、その部分の協議を新たにする必要がありますし、遺産分割協議が無効となってしまうおそれもあります。

遺産分割協議後に未分割の遺産が見つかった場合はどうなる?

相続人や相続財産の調査には大変な労力がかかる

相続人の確定や相続財産の調査は、ご自身で行うことも可能です。

しかし、収集しなければならない資料が多くありますし、郵送でのやりとりができず直接行く必要がある場合や一度で終わらず何度も足を運ぶ必要がある場合もあります。

そのため、ご自身で調査するには相当な時間と労力がかかるといえるでしょう。

3.遺産分割ができる期間

カレンダー

民法では、共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる(民法907条1項)と規定されています。

原則として共同相続人は、いつでも遺産分割をすることができることになっています。

しかし、例外として、被相続人が遺言で一定期間、遺産分割を禁止することができることになっています。
その禁止期間は、相続開始のときから5年を超えない期間内(民法908条)となっています。
したがって、たとえ共同相続人全員が合意したとしても、遺言で分割を禁止された期間(相続開始から最長5年の範囲内)には、遺産分割をすることはできません。

自分の死後に、相続人達の間で遺産分割による揉め事が起こりそうな場合、相続人たちに冷静になってもらう必要があるので、一定期間は遺産の分割をさせないでおくため、遺言によって遺産分割を禁止するという例は実際にあります。

なお、長期間に渡って遺産分割禁止状態という不安定な状態が継続することを避ける必要があるため、遺言によって、5年を超える長い期間、分割の禁止を継続させることはできません。
  また、遺産分割の禁止を第三者に主張するには、不動産の場合にはその旨を登記しておくことが必要です。

相続税の申告には期限がありますが、遺産分割自体や相続登記については、特別の法定期限はありません。

法定相続人たちがじっくりと時間を費やして、十分に話し合いをし、相続人全員が納得できる遺産分割の協議をすることが、何よりも大切なことなのです。

しかし、そうは言っても、放っておいても、不動産などが被相続人名義のままになっていると、賃貸や管理、担保の設定、固定資産税の納税等、いろいろと不利益な事態が発生します。

実際には、遺産分割が遅れることにより、相続税の申告と納税に遅れがでることが、もっとも大きな損失を生むことになり得ます。

遺産分割やそれに伴う不動産の相続登記は、できるだけ早く完了させることが大切で、それにより無駄な費用が発生するのを防ぐことができるのです。

相続人が多数であったり、財産が過大であったりして分配が困難になると、時間ばかりがかかって、全員一致で協議決定するのが難しくなることがあります。

相続人全員の意見がまとまった時には、早めに遺産分割協議書を作成し、決まり次第直ちに相続登記までを済ませておくことをお勧めします。

また、ご自身で資料を集めることが不安な場合などには、弁護士などの専門家に依頼することも検討することをおすすめします。

弁護士に依頼した場合、弁護士が必要な書類をすべて集め、相続人や財産の調査を代わりに行ってくれます。

また、調査だけにとどまらず、遺産分割の方法についてのアドバイスや遺産分割協議書の作成など遺産分割に向けて、総合的なサポートを受けることもできます。

4.遺産分割協議書とは

前述した遺産の協議による分割は、裁判所が関与せずに、相続人全員の合意により遺産を分割する手続で最も一般的な分割方法といえます(民法907条1項)。

相続人は、被相続人が遺言で分割を禁じた場合を除き、いつでも協議で遺産の分割をすることができます(民法907条1項)。

協議の成立には、相続人全員の意思の合致が必要ですが、分割協議成立後に認知された子が現れた場合については、協議そのものをやり直す必要はなく、価額による支払請求が行われます(民法910条)。

相続人全員の意思の合致がある限り、分割の内容は相続人の自由に任されており、指定相続分あるいは法定相続分に従う必要はありません。

遺産分割協議において、相続人間で遺産分割が確定した場合に、作成されるのが遺産分割協議書です。

この遺産分割協議書は、法的に作成を義務付けられているものではありません。

しかし、後日相続人間で、遺産分割協議の内容を巡っての紛争が生じないようにするために、遺産分割協議書を作成するのが通常であるといえます。

5.遺産分割協議書作成で注意すべきこと

ポイントのメモ

遺産分割に関して共同相続人間で合意が成立した場合、単に口頭の合意で留めておくことも可能ですが、協議の内容を証明するため、遺産分割協議書を作成しておくのが普通ですし、協議の蒸し返しを防ぐためにも書面を作成しておくべきです。

  遺産分割協議書には共同相続人全員が署名・押印しなければなりません(署名は記名をもって代えることができますが、できるだけ自署によることが望ましいでしょう)。

  全員が集まって一度の機会に作成、署名・押印する方法でも、誰かがあらかじめ案をつくり、持ち回りで他の相続人がそれに署名・押印する方法のいずれでも、相続人全員が記載内容を承認して署名・押印すれば、遺産分割協議は成立します。  遺産分割協議書を作成する場合に、注意すべきことは次のとおりです。

  • 誰がどの遺産を取得するのかを明記します。
  • 現在判明していない相続財産が今後発見された場合、誰にどう分配するかについても決めておきます。
  • 住所の記載は、住民票や印鑑証明に記載されているとおりに記載します。
  • 捺印は実印でします。これは印鑑証明書と一体となって、合意が本人の意思に基づくものであることの証明となると同時に、登記の際の「相続を証する書面」として使用するために必要なことです。
  • 銀行、証券会社などによっては、自社専用の決められた要式の用紙に相続人全員の実印による押印を要求し、一般の遺産分割協議書では預金名義を特定の相続人名義に書き換えることを認めないところがありますから、あらかじめ銀行等に確認し、必要あれば、協議書に対する捺印と同時に、専用書類への押印を済ませられるようにするのがよいでしょう。
  • 作成する通数は、各相続人が1通ずつ所持できるよう、相続人の人数と同じ通数を作成するのがよいでしょう。
  • 分割協議書が1枚の用紙で足りずに複数になった場合、各用紙の間に全相続人の契印を忘れずにする必要があります。

6.遺産分割の方法

相続

分割方法

遺産分割の方法としては、(1)現物分割、(2)代償分割、(3)換価分割、(4)共有分割の4つがあります。

 (1) 現物分割
   現物分割とは、遺産に属する物または権利を換価せずに原状のままの状態で共同相続人に取得させる方法です。①個々の物または権利を2つ以上の部分に細分化し、その各部分を相続人に取得させる場合と、②個々の物または権利を細分化することなく、そのまま各相続人に取得させる場合とがあります。

 (2) 代償分割
   代償分割とは、相続人の1人または数人に遺産の全部または一部を現物で取得させ、現物を取得した相続人がその他の相続人にお金(代償金)を支払う方法です。

典型的な事情としては、農地の相続において農業経営の継続を相当とする場合や特定の相続人が居住利用している土地建物の利用の継続を相当とする場合、あるいは会社経営の安定化のために会社の社員権を特定の相続人に帰属させるなどの場合です。

 (3) 換価分割

   換価分割とは、遺産を競売の方法により売却して、その代金を分割する方法です。
   この分割方法は、遺産を取得したい相続人がいない場合や、取得したい相続人がいてもその人に代償金を支払う能力がない場合などに選択されることがあります。

 (4) 共有分割
   共有分割とは、遺産の全部又は一部を複数の相続人が共有で取得する方法です。任意で売却する場合も共有分割になります。

   この分割方法による共有関係を解消する手続は、共有物分割訴訟になります。

 分割方法の順序

  遺産分割調停においては、現物分割 ⇒ 代償分割 ⇒ 換価分割 ⇒ 共有分割の順序でどの分割方法が可能であるかを考えていきます。 

  この点に関して、大阪高裁平成14年6月5日が以下のように判示しています。
  「遺産分割は、共有分割と同様、相続によって生じた財産の共有・準共有状態を解消し、相続人の共有持分や準共有持分を、単独での財産権行使が可能な権利(所有権や金銭等)に還元することを目的とする手続であるから、遺産分割の方法の選択に関する基本原則は、当事者の意向を踏まえた上での現物分割であり、それが困難な場合には、現物分割に代わる手段として、当事者が代償金の負担を了解している限りにおいて代償分割が相当であり、代償分割すら困難な場合には換価分割がされるべきである。共有とする分割方法は、やむを得ない次善の策として許される場合もないわけではないが、この方法は、そもそも遺産分割の目的と相反し、ただ紛争を先送りするだけで、何ら遺産に関する紛争の解決とならないことが予想されるから、現物分割や代償分割はもとより、換価分割さえも困難な状況にあるときに選択されるべき分割方法である。」

7.法定相続人の確定とは 

お金の上に立つ人の模型

民法の規定により相続人となる人のことを「法定相続人」と言います。

遺産分割協議等の遺産相続手続きを行うには、法定相続人を確定させることが必要です。遺産分割協議では、相続の権利を持つ相続人全員が参加しなければ決議ができないためです。

なお、法定相続人を確定せずに遺産分割協議を進めてしまった場合、途中で新たな法定相続人が現れると初めから分割協議をやり直さなければならなくなります。

法定相続人を確定する方法

法定相続人を確定するためにはまず、戸籍を取得する必要があります。戸籍を見る事で、相続人が何人いるのか、また、家族も知らない隠し子がいたというような事実が分かる場合もあります。

必要な戸籍は、被相続人の出生から死亡まで途切れなく繋がった全ての戸籍と、法定相続人全員の現在の戸籍が必要です。

戸籍はそれぞれの本籍地の市町村役場で取得します。

法定相続人の人数や構成によって、必要な戸籍の数は変わります。場合によっては、100通を超える戸籍が必要になることもあるため、相続手続のための戸籍取得には、かなりの時間と手間がかかります。

また、古い戸籍は手書きで書かれているために、内容を読み取る事が困難な場合もあります。

遺産分割協議は、共同相続人全員でなされることが必要であり一部の相続人が参加せずに行われた遺産分割は無効となります。

遺産分割協議は、共同相続人によってなされなくてはなりません。

  共同相続人には包括受遺者(民法990条)、相続分の譲受人を含みますが、個々の遺産についての持分の譲受人を含みません。

 遺産分割は、分割内容が確定しているのであれば、全員が一堂に会する必要はなく、持ち回り方式でなされても問題はありません。

  ただし、分割内容が確定しないまま合意しても、意思の合致があったとはいえず、遺産分割協議は無効となります(仙台高判平成4年4月20日)。

8.相続で揉めないための対策とは

対立する女性

相続が開始し遺産分割の話合いの中で親族同士のもめごとが起きるというのはよくあることです。しかし、被相続人としては、自分の遺産を分割する話合いの中で、親族同士でもめごとになってしまうというのは本意ではないと思います。それでは、このようなもめごとになるのを避けるにはどうしたら良いのでしょうか。

考えられる方法としては、遺言を作成しておくということです。
遺言が作成されていれば、遺言の内容に従って遺産が分けられることになりますので、遺産をどのように分けるかをめぐって相続人間で揉め事になるということは基本的に避けることができると考えられます。

遺言について詳しくはこちら

もっとも、遺言の内容が曖昧であった場合には、その解釈をめぐって相続人間で争いが生じる可能性がありますし、遺言に記載された以外に財産があるという場合には、その財産をどのように分けるかをめぐって相続人間で争いが生じる可能性もあります。
また、遺言が、遺留分(一定の範囲の相続人に留保された相続財産の一定割合のことで、簡単に言えば、民法が相続人に認めている最低限の取り分のことです)を侵害するものであれば、遺留分侵害額請求がされ、相続人間で争いになる可能性が残ります。

遺留分侵害額請求について詳しくはこちら

さらに、遺言の内容次第では、遺言の内容に不満のある相続人と、そうでない相続人との間でわだかまりが生じ、遺言の効力そのものを争うという形で、相続人間で争いが生じる可能性もあります。

したがって、遺言を作成する際には、以上のような争いの種を残さないように配慮して作成する必要があります。また、遺言の内容について家族に話しておき、相続人となる者の理解を得ておくということが必要な場合もあるでしょう。

9.弁護士などの専門家に相談を

弁護士

上記のように遺産分割を進めようとするだけでかなりの知識が必要なことがわかります。

相続人の確定や相続財産の調査などまとめて依頼したほうが精神的にも負担が少ないですし、短時間で済ませることができるのでお勧めしております。

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