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相続の手続きを先延ばしにするリスク

考え事をする夫婦相続が発生すると、相続人の方にはやらなければならないことがたくさん発生します。

先延ばしにするといろいろなリスクがあるので、早めに対応しましょう。

この記事では相続手続きとして優先的にやらなければならないことや弁護士に依頼するメリット、相続手続きを先延ばしにするリスクについて解説します。

相続人の立場になった方はぜひ参考にしてみてください。

目次

相続が起こったとき、最優先でやるべきこと

TO DOリスト相続が起こったら、具体的に何をすれば良いのでしょうか?以下では最優先で行うべきことをお伝えします。

1.死亡届の提出

まずは役所へ死亡届を提出しなければなりません。病院などで死亡診断書をもらい、必要事項を記入して役所へ持参しましょう。

死亡届の提出は、死亡後7日以内にしなければなりません。提出が遅れると5万円以下の過料のペナルティを課される可能性もあるので、遅れないようにしましょう。

2.葬儀の準備

死亡診断書を提出したら、引き換えに火葬許可証をもらえます。それを使って葬儀の準備を進めましょう。

葬儀社などに依頼して打ち合わせを行い、お通夜や葬儀を実施してください。

3.年金受給権者死亡届の提出

年金を受給していた場合には、年金事務所などへ年金の受給権者死亡届を提出しなければなりません。国民年金の場合には死亡後14日以内、厚生年金の場合には死亡後10日以内に提出しなければならないので、遅れないように手続きしましょう。

4.未支給年金請求の届出

年金受給者が死亡すると、生きていた期間の未支給年金が発生するケースもよくあります。

未支給年金は申請しないと受け取れないので、早めに年金事務所などへ請求を行いましょう。

5.被相続人の健康保険や介護保険資格喪失届

亡くなった方の健康保険や介護保険の資格喪失届も提出しなければなりません。加入していた健康保険組合や自治体で手続きをしましょう。

国民健康保険の場合、死亡後14日以内に手続きしなければならないなど期限も定められているので、遅れないように注意してください。

6.世帯主の変更届

住民票の世帯主が死亡した場合、世帯主の変更届も提出しなければなりません。世帯主の変更は、世帯主の死亡後14日以内に行わねばならないので、遅れないようにしましょう。

相続が発生したとき、優先的にやるべきこと

以下では相続手続きが起こったとき、優先的にやるべきことをご紹介していきます。上記の「最優先でやるべきこと」が終わったら取り掛かっていきましょう。

1.遺言書の確認

遺言書まずは被相続人が遺言書を遺していないか、確認しましょう。遺言書は自宅や貸金庫で保管されているケースもありますが、公証役場や法務局で保管されている場合もあります。
公証役場では遺言書検索サービスを利用できますし、法務局でも遺言書の有無を調べられるので、一度確認してみると良いでしょう。

遺言書の検認手続き

自筆証書遺言が法務局に預けられていなかった場合(自宅などに保管されていた場合)や秘密証書遺言が見つかったときには、遺言書の検認を受けなければなりません。検認とは、遺言書の状態や内容を保存するための手続きです。検認を受ける場合には家庭裁判所へ申請する必要があります。

 

検認せずに遺言書を開封するのは違法です。「過料」の制裁を加えられる可能性もあるので、検認なしに遺言書を開けてはなりません。内容を確認するためにも、早めに検認を申請しましょう。

2.法定相続人の確定

家系図次に法定相続人を確定しなければなりません。そのための手続きが相続人調査です。
相続人調査を行う際には、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類を集めなければなりません。戸籍の内容を読み解き、被相続人の相続人となる子どもや孫、親や兄弟姉妹などを確認していきましょう。

【参考】相続人調査や戸籍の収集方法

3.相続財産の調査

おもちゃの貯金箱相続財産(遺産)の調査も必要です。どのような遺産があるかがわからないと、遺産分割協議も始められません。借金などの負債が遺されていないかが把握できないと、相続放棄すべきかどうかも明らかにならないでしょう。
自宅に財産の資料が遺されていないか確認し、金融機関や証券会社へ情報照会したりして遺産内容を確認していきましょう。

【参考】相続財産調査の方法

4.遺産分割協議

相続人と相続財産が明らかになったら、遺産分割協議を始めましょう。遺産分割協議とは、相続人が全員参加して遺産分割の方法を話し合うための手続きです。

遺産分割協議で全員が合意しないと、遺産分割の方法は決まりません。

 

相続人が1人でも漏れていると遺産分割協議が無効になってしまうので、漏れが生じないように注意しましょう。仲の悪い相続人や連絡を取りにくい相続人がいても、協議から外してはなりません。

【参考】相続財産調査の方法

5.限定承認・相続放棄の申述

負債が遺されて相続したくない場合などには、相続放棄や限定承認を検討しましょう。

相続放棄や限定承認は「自分のために相続があったことを知ってから3か月以内」にしかできないので、期限を過ぎてしまわないように注意が必要です。

【参考】相続放棄とは

6.被相続人の所得税の準確定申告

被相続人が事業者だった場合などには、年の途中までの分の確定申告が必要です。相続人が被相続人の代わりにしなければならないので、速やかに進めましょう。

準確定申告は、被相続人の死亡を知ってから4か月以内に行わねばならないので、できるだけ急いで対応した方が良いでしょう。

準確定申告の還付請求

準確定申告の結果、税金を払いすぎていたら還付請求できるケースもあります。申告せずに放置していると還付請求権も失われてしまうので、早めに手続きを行うべきといえます。

7.相続税の申告

相続税の申告遺産の評価額が基礎控除を超える場合、基本的に相続税の申告と納付をしなければなりません。相続税の申告期限は相続開始を知ってから10か月以内です。
遺産調査や評価などを行っているうちに10か月程度はすぐに経過してしまうので、早めに手続きの準備を始めましょう。
自分たちで相続税の申告をするのが負担になる場合、税理士に依頼しましょう。

8.遺産分割協議書作成

遺産分割協議書遺産分割協議が終わったら、遺産分割協議書を作成しましょう。遺産分割協議書とは、遺産分割協議の結果をまとめた書面です。誰がどの遺産を取得するかなどが個別に記載されています。預金の払い戻しや相続登記、相続税の申告など各場面で遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議書には、相続人全員が署名押印しなければなりません。実印で署名押印したうえで全員分の印鑑登録証明書を添付しましょう。

9.遺留分侵害額請求

電卓とメモ遺言や贈与によって遺留分が侵害された場合には、遺留分侵害額請求を行いましょう。遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分をお金で取り戻すための請求手続きです。
遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。遺言や贈与によって遺留分が侵害されると、権利者は侵害者へ遺留分侵害額請求ができます。
ただし遺留分侵害額請求には期限があります。請求できるのは「相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内」に限られます。遺留分を請求したい場合には、早めに手続きしましょう。

【参考】遺留分を請求するには

10.遺族年金の請求

被相続人によって扶養されていた方などは、遺族年金の要件を満たせば遺族年金を受給できます。ただし遺族年金の請求には期限があるので、過ぎてしまわないように早めに手続きを行いましょう。年金事務所などで遺族年金の申請をしてください。

11.国民年金の死亡一時金の請求

死亡した方が第一号被保険者として36か月以上年金保険料を納付していた場合、遺族は国民年金から死亡一時金を受け取れます。請求しないと受け取れないので、早めに年金事務所へ申請しましょう。

12.高額療養費の還付請求

被相続人が死亡前に入院して医療費がかさんだ場合などには、高額医療費の還付請求ができる可能性もあります。

死亡後の葬儀などの手続きが済んだら、早めに高額医療費の還付請求も行いましょう。

13.相続登記

被相続人が不動産を所有していた場合、引き継いだ相続人は不動産の登記名義を書き換えなければなりません。その手続きを「相続登記」といいます。相続登記は2024年4月1日から義務化され、3年以内に行わないと過料の制裁を課されるようになってしまいます。

また相続登記せずに土地や建物を放置すると、不動産が誰のものかわかりにくくなって混乱が発生します。不動産を相続したら、早めに相続登記をしましょう。

 

自分で相続登記するのが手間になる場合、司法書士に依頼すると良いでしょう。

【参考】相続問題を弁護士に依頼すべき理由

14.預金払戻しや株式相続などの手続き

遺産分割協議が済んだら、預金の払い戻しや株式の名義変更、車の名義変更などができるようになります。これらの手続きについても早めに行いましょう。

【参考】使い込まれた預金を返還請求する手順・流れ

15.死亡保険金の請求

被相続人が生命保険をかけていた場合、生命保険から死亡保険金が支給される可能性があります。

死亡保険金の請求期限は3年です。期限をすぎると権利が失われてしまうので、早めに請求しましょう。

【参考】相続財産について

相続手続きを先延ばしにするリスク

頭をかかえる女性相続手続きはなるべく早めに行うべきです。
以下で相続手続きを先延ばしにするとどういった問題が生じるのか、みてみましょう。

1.相続税が高額になる

相続税の申告や納付は、相続人が相続を知ってから10か月以内に行わねばなりません。遺産分割協議が済んでいれば、遺産分割協議の結果にもとづいて申告ができます。

一方、遺産分割協議が済んでいない場合、配偶者控除や小規模宅地の特例などの控除や特例を適用できません。そのために税額が上がってしまう可能性が高まります。

 

相続税を抑えるためには遺産分割協議を早めに成立させて、相続税申告に間に合わせるのが良いでしょう。

2.資料を紛失する

遺産相続の際には、様々な資料が必要となるものです。たとえば預金や株式などの資料がないと、遺産内容も確定で来ません。

 

ところが相続開始からあまりに日数が経過すると、相続に関する資料が失われてしまうケースが多数です。結果的に、明らかに残っている不動産などについてしか分けることができなくなってしまう可能性があります。

また生前贈与の資料なども失われてしまいやすくなります。生前贈与の資料がなければ特別受益の持戻計算ができません。

 

遺産分割協議で正しく遺産を分けるためにも、資料がなくなる前に、早めに遺産分割協議を行いましょう。

【参考】相続財産調査の方法

3.法定相続分に従った遺産分割しかできなくなる

2023年4月からは、遺産分割協議に期限がもうけられます。

従来は遺産分割協議に何の期限もなく、いつ話し合いを行っても効果は同じでした。

 

ところが法改正により、2023年4月からは、10年が経過した場合に「具体的相続分」にもとづく遺産分割ができなくなってしまいます。

具体的相続分とは、特別受益や寄与分を評価した遺産分割方法です。2023年4月からは「10年が経過した場合の遺産分割では法定相続分に従った分割方法しかできない」のが原則になります。

特別受益や寄与分を評価して公平に遺産分割をしたいなら、早めに手続きを行いましょう。

【参考】遺産相続に関連する民法改正について~改正相続法について弁護士が解説~

4.相続放棄や限定承認ができなくなる

相続放棄や限定承認には期限があります。

自分のために相続があったことを知ってから3か月以内に行わねばなりません。

 

期限をすぎると、借金などの負債も含めて遺産を相続せざるを得なくなってしまいます。

遺産に借金などの負債が遺されていて相続放棄したい方の場合、特に急いで手続きすべきといえるでしょう。放っておくと借金を引き継いでしまうリスクが発生します。

【参考】相続放棄で注意すべきこと

5.預金が休眠口座扱いになってしまう

預金の払い戻しにも期限があります。5年間放置すると時効によって失われてしまう可能性がありますし、10年以上放置していると「休眠口座」扱いとなり、公益活動などにお金が使われてしまう可能性もあります。

遺産の中に預金が含まれている場合にも、早めに相続手続きすべきといえるでしょう。

6.株主の権利が失われる

株式を相続した場合にも、早めに名義変更すべきです。名義変更しないと、会社へ自分が株主であることを主張できません。配当金なども受け取れない可能性があります。また5年間以上株主不明な状態が続くと、会社は自ら株式を買い取れます。つまり相続人の手元からは株式が失われてしまうのです。

株式を相続した場合にも、早めに相続手続きをしましょう。

【参考】株式・投資信託、債券の名義変更

7.相続登記が遅れてペナルティが課される

将来的に不動産の相続登記にも期限がもうけられます。

2024年4月からは、不動産の相続人や受遺者となったことを知ってから3年以内に相続登記しないと、10万円以下の過料の制裁を課される可能性があります。2024年3月以前に相続した方にもこの規定は適用されます。

不動産を相続したら、今のうちから早めに相続登記すべきといえるでしょう。

弁護士に相談するメリット

武多和弁護士相続手続きは、自分たちで行うことも可能ですが弁護士に相談や依頼ができます。
相続について弁護士に相談・依頼すると、以下のようなメリットがあります。

1.相続手続きの流れがわかる

相続人の立場になっても、何から手を付けてよいかわからない方が多いでしょう。弁護士に相談すると、相続の流れがわかります。だいたいの流れがわかったら自分たちだけでも進めやすくなりますし、そのまま弁護士に依頼もできます。

弁護士に相談すると相続手続きの流れを把握できるメリットがあるといえるでしょう。

2.手続きがスムーズに進む

専門知識のない方が自分たちで相続手続きを進めようとすると、どうしても手間取ってしまうものです。余計な時間もかかってしまうでしょう。

弁護士に依頼すると手続きをスムーズに進めてもらえるメリットがあります。

3.手間がかからない

相続手続きには手間のかかるものが多数あります。たとえば相続人調査で戸籍謄本類を集めるのは大変な手間です。

弁護士に依頼するとこういった手間がかからない点もメリットとなります。

【参考】相続人調査や戸籍の収集方法

4.トラブルが起こっても対応できる

相続手続きでは、相続人同士の意見が合わずにもめてしまうケースも少なくありません。

弁護士にはもめてしまった場合の遺産分割協議や調停、審判などの代理を任せられるので、トラブルになっても対応可能なメリットがあります。

【参考】相続紛争とは?トラブルになりやすいケースや紛争を起こさない方法について弁護士が解説

5.難しい事案でも対応できる

遺産相続の事案にはさまざまなケースがあり、複雑な問題を抱えるものも少なくありません。たとえば相続人の中に未成年者が含まれていたら、特別代理人を選任者なければなりません。海外の相続人が含まれていたり行方不明な相続人がいたりする場合にも特別な対応が必要となります。

弁護士がいればこういった難しい事例にも問題なくスムーズに対応できるメリットがあります。

6.期限のある手続きでも安心して依頼できる

相続手続きには期限のあるものも多数あります。たとえば相続放棄や遺留分侵害額請求などにはそれぞれ期限があり、期限をすぎるとできなくなってしまいます。

弁護士に任せていれば期限を過ぎてしまうことなど通常ないので、安心して任せられるメリットがあるといえるでしょう。

【参考】相続を弁護士に相談するタイミング

山本総合法律事務所に相談するメリット

弁護士一同山本総合法律事務所では遺産相続に関する手続きを総合的に受け付けています。
以下で当事務所に依頼するメリットをお伝えします。

1.相続手続きに関してワンストップでのサービスを提供

遺産相続手続きは多岐にわたり、相続人さまが個別に対応すると非常に手間がかかります。

 

またほとんどのことは弁護士に依頼できても相続登記については司法書士、相続税申告については税理士に依頼する必要があり、それぞれに対応した専門家を探さねばなりません。

 

山本総合法律事務所では相続に詳しい司法書士や税理士とも提携しているので、相続手続きをすべてワンストップで解決できます。面倒で手間のかかる相続手続きを丸投げできるのが、弊事務所に依頼する第1のメリットです。

【参考】相続問題を弁護士に依頼すべき理由

2.地元密着型で親身に対応

山本総合法律事務所は、遺産相続案件に力を入れている地元密着型の弁護士事務所です。

 

2007年の創立以来、多くの相続トラブルを解決に導いてまいりました。現在は8名の弁護士が所属しており、チーム体制で事件の処理にあたり、知識とノウハウを共有しています。

 

また、知識だけではなく、お一人お一人のお客様に対して親身に対応させていただいております。お客様から「一般的な弁護士のイメージと違って、とても話しやすかった」「こちらの気持ちを受け止めて真摯に対応してくれた」などのお声をいただいております。

 

地元の弁護士が親身になって対応しますので、安心してご相談いただけます。

3.無料相談を利用可能

弁護士というと、費用が高いイメージがあって相談しにくい、といった方も多いでしょう。

 

山本総合法律事務所では相続に関するご相談料を無料として、気軽に相談できる環境を整えています。経済的な面でお気軽にご利用いただけるのも、当事務所を選ぶメリットといえるでしょう。

 

相続人になって相続手続きを何から初めて良いかわからない方、自分たちだけでは放置してしまいそうな方、相続トラブルに巻き込まれてお困りの方などがおられましたら、群馬県の山本総合法律事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

代表弁護士 山本哲也

弁護士法人山本総合法律事務所

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