会った事のない人の相続人になってしまい、申述期間経過後に例外的な相続放棄が認められた事例
- 執筆者弁護士 山本哲也
事件の概要
事件の種類 | 相続放棄 |
解決方法 | 相続放棄の申述 |
相続人 | A代さん(ご本人)を含めて3名 |
相続財産 | 不動産、その他は不明 |
相談の経緯

ある日、A代さんのところに突然、市役所から固定資産税の支払い請求が届きました。
身に覚えのない内容だったため市役所に問合せてみると、「全く面識のない方の相続人になっている」事が分かりました。
ところが、市役所は被相続人とA代さんとの相続関係を教えてくれず、一体誰の相続人になってしまったのか全く分からない状態でした。
そこで、「今後どうすればいいか分からない」とのことで山本総合法律事務所にご相談にいらっしゃいました。
被相続人と依頼者との間に全く面識がない場合、まずは被相続人にたどり着くまで戸籍をたどっていく必要があります。
事務処理が複雑であることから弁護士の力を借りたいとご依頼となりました。
関連リンク:相続人調査の方法
解決方法

被相続人と依頼者との面識が全くありませんでしたので、まずA代さんの戸籍、ご両親様の戸籍と順番に遡って戸籍を調査しました。
被相続人との相続関係が判明した後は、依頼者の要望が相続放棄であったため、相続放棄の申述を行い、無事相続放棄が受理されました。
解決のポイント

本件は、被相続人と依頼者との面識が全くなく、どこの誰なのか全く分からないとのことでしたので、相当数の戸籍を調査しました。
実際に被相続人にたどり着きましたが、再婚や養子縁組が関係するなど、相続関係複雑化しており、知識のない方が調査し、相続関係を把握するのは困難な事案でした。
また、相続放棄については、申述期間を相当期間徒過しておりましたので、徒過してしまった事情等を書面化し、申述致しました。
その後、裁判所とやりとりし、無事申述が受理され、相続放棄が認められました。
本件では、相続放棄の申述期間経過後の申述が受理されましたが、必ずしも全ての事案で受理されるとは限りません。
突然面識のない方の相続人になったとして通知が来たような場合には、放置せず、早めにご相談されることをおすすめします。
関連リンク:相続したくない場合、どうすればいいの?(相続放棄について)
※本件は当事務所でご依頼をお受けした案件ですが、関係者のプライバシー保護等の配慮のため、案件の主旨を損ねない範囲で事実関係を一部変更している箇所がありますのでご了承ください。
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