相続人が15人、行方不明者もいたものの、弁護士に依頼して無事に遺産分割を終えた事例
- 執筆者弁護士 山本哲也
事件の概要
事件の種類 | 遺産分割 |
解決方法 | 遺産分割協議 |
相続人 | Mさん(ご本人)を含めて15名 |
相続財産 | 不動産、預貯金等 |
相談の経緯

兄弟が亡くなった後、亡くなった兄弟の成年後見人であった弁護士から「遺産分割をするように」と資料を渡されたMさん。
「どうしたらよいか分からないので、今後の手続などの話を聞きたい」と当事務所にご相談にいらっしゃいました。
相続人の範囲や今後の流れ等をご説明し、改めてMさんのケースを確認したところ、相続人が10名を超える事が分かりました。
相続人の人数が多く、自身で処理することが難しいとの事でご依頼となりました。
解決方法

まず、相続人を特定する必要がありましたので、相続人の調査を行いました。最終的には相続人が15名いる事が判明しました。
特定後は、すぐに各相続人と連絡を取り、遺産分割について説明等を行いました。
また、相続人の中に数十年前から行方不明となっている方がいらっしゃいましたので、別途所在調査(ご家族への聴取等)を行いました。
結局所在が分かりませんでしたので、不在者財産管理人を選任し、選任された管理人に遺産分割協議に加わっていただき、その他の相続人と共に遺産分割協議を実施しました。
協議成立後は、遺産分割協議書を作成、協議書に従って遺産を分配し、無事終了となりました。
解決のポイント

本件は、相続人の数が比較的多く、その中にはご高齢(90歳以上)の方や行方不明者がいるという事案でした。
相続人の中にご高齢の方がいらっしゃる場合、その方の意思能力(法律行為を有効に行うための理解・判断能力)の有無に注意をする必要があります。
例えば認知症により意思能力を欠く場合には、その方が行った遺産分割協議における合意は無効となり、協議が成立しません。このような場合には、家庭裁判所に成年後見人選任の申立を行い、成年後見人を選任しなければなりません。
また、行方不明者については、調査しても所在が分からなければ裁判所に不在者財産管理人の選任申立を行い、不在者財産管理人を選任する必要があります。
このように遺産分割においては、相続人の状況によって各種公的な手続を経なければならないことも多々あります。また、相続人の数が多くなるほど相続人間での連絡や合意形成が困難となります。
そのため、今回のケースのように「相続人が多数いる場合」「相続人の誰かが意思能力を欠く(欠くと思われる)場合」「相続人に行方不明者がいる場合」、1つでも当てはまる場合は早期に弁護士に相談されることをおすすめします。
※本件は当事務所でご依頼をお受けした案件ですが、関係者のプライバシー保護等の配慮のため、案件の主旨を損ねない範囲で事実関係を一部変更している箇所がありますのでご了承ください。
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