亡父の遺産分割調停において、不当な特別受益の主張等を退け、適正な遺産分割を成立させた事例

更新日:2023/12/04

事件の概要

事件の種類 遺産分割
解決方法 調停
相続人
相続財産 不動産

相談の経緯

遺産分割

依頼者は、依頼者の兄(相手方)から遺産分割協議をやり直したいと連絡がしつこく来て困っており、その内容は、相手方が、当時言われたより多く相続財産があったと主張しているが心当たりは全くないというものでした。

当事者間の協議では解決ができず、相手方から裁判所に遺産分割調停が申し立てられたので、同調停を弁護士に対応してもらいたいと希望があり、依頼となりました。

解決方法

point

調停においては、相手方の主張内容は以下のようなものでした。

  • 被相続人(父)死亡後に預貯金を相続人の合意のもとに引き出したがこれについても調停において遺産に含めて解決をしたい。
  • 依頼者に2000万円以上の特別受益があるため、遺産に持ち戻して具体的相続分を算定したい。

当方において、上記2点の主張を退け、残存していた不動産のみを前提に遺産分割を成立させました。

解決のポイント

武多和弁護士

遺産分割の対象は、遺産分割時に残存している財産とされています。


本件では、

  • 預貯金は、被相続人(父)が死亡後に引き出されていたことから、遺産分割時には残存していないため、遺産分割の対象から除外するべきであると主張しました。

また、相手方は、

  • 依頼者に対して、被相続人から住宅購入資金等で2000万円以上の特別受益が存在するため、遺産に持ち戻すべきであると主張しておりました。

この点に関しては、本件は、遺産としては不動産のみであり、当該不動産の評価額は300万円程度でした。

つまり、遺産の評価額が300万円であるのに対し、特別受益の主張金額が2000万円ですから、特別受益の主張金額が明らかに上回る、いわゆる超過特別受益の主張を行っている事案でした。

超過特別受益については、仮に特別受益が存在したとしても、残存する遺産は300万円の評価でしかないのですから、例えば300万円(遺産)+2000万円(特別受益)=2300万円を分け合うということにはならず、300万円をどのように分けるかという問題にしかならないことを主張しました。

以上の点を論理的に記載した書面を裁判所に提出することにより、調停委員及び裁判官に理解を示してもらい、無事に残存していた不動産のみを対象とした遺産分割成立しました。

なお、本件においては、依頼者の夫も遺産である不動産の共有持分を保有していたため、相続人ではないのですが、利害関係人参加の申立てをして一挙に解決を図る調停条項を作成することにより、後日の紛争を回避することもできました。


※本件は当事務所でご依頼をお受けした案件ですが、関係者のプライバシー保護等の配慮のため、案件の主旨を損ねない範囲で事実関係を一部変更している箇所がありますのでご了承ください。

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