実家を売却して遺産分割する場合のポイント

更新日:2023/07/19

相続において実家を売却する場合によくあるご相談

空き家

親が亡くなって実家を相続することになった場合、その実家をそのまま現物で引き受けることもありますが、持ち続けることがかえって負担となる場合もあります。、また、遺産分割の際に他の相続人に支払う代償金や、相続税の支払いが難しい場合もあるでしょう。

このような場合には、相続に際して換価分割をして実家を売却することがよい場合があります。

この記事では、換価分割に関するポイントや注意点をご紹介します。

換価分割とは

家系図

換価分割とは、遺産分割の方法のひとつで、相続財産を売却して金銭に換価し、その金銭を相続人間で分割する方法です。

遺産分割の方法としては、ほかに以下の3つの方法があります。

  • 現物分割
    現物分割とは、相続財産の現物をそのまま相続人間で分け合う分割方法です。
  • 代償分割
    代償分割とは、相続人のうちの1人がある相続財産を相続し、その相続人が他の相続人に対してその代償として金銭を支払う方法です。
  • 共有分割
    共有分割とは、相続財産を相続人間で共有して持ち合う分割方法です。

換価分割を選択すべきケース

4種類

換価分割を選択すべき場合としては、以下のものが考えられます。

相続人間で公平に分割をしたい場合

まず、公平に相続財産を分割したい場合です。

換価分割は、金銭で分割をすることができるので、相続人間において客観的で公平な分割をすることができます。

相続人間で遺産分割の内容について争いが生じそうなときは、後に不平・不満が出ることを防ぐため、換価分割をすることが考えられます。

誰も実家の利用・維持管理を望まない場合

相続人の皆さんが誰も実家を利用することや維持管理することを望まない場合も考えられます。

相続人のうちの誰かが実家を引き継いで住み続けたい場合は、その者に相続をさせ、他の相続人に代償金を支払う方法(代償分割)が考えられます。しかし、実家を利用したり、維持管理をすることを相続人が誰も望まない場合、実家の存在はただの負担でしかありません。

その場合には、相続に際して実家を売却して換価分割をすることで、その後の無用な費用をかけないようにすることが考えられます。

代償金を支払うことができない場合

実家に住み続けたい考えがある相続人がいたとしても、他に分割すべき十分な相続財産がない場合には、その相続人は他の相続人に対して代償金を支払う必要があります。この代償金を支払うことができない場合は、換価分割の方法をとらざるを得ないといえます。

相続税を支払えない場合

また、相続人が財産を相続によって取得する際には、相続税を支払う必要があります。

相続税は現金で支払う必要があるため、相続財産の中に相続税を支払うのに十分な現金・預貯金がない場合には、換価分割の方法が適切といえます。

換価を行う場合のポイント

ポイント

換価分割に際しては、売却の手間と費用が掛かってしまう点がデメリットとして考えられるので、あらかじめこの点を考慮する必要があります。

また、換価分割を行う場合、相続税に加えて譲渡所得税が発生する可能性もあるので注意しましょう。

譲渡所得税とは、不動産を売却することにより得られる利益に課されるものです。

換価分割でかかる譲渡所得税は、売却代金を受け取ることになる相続人全員に支払い義務が生じます。代表相続人一人が売買契約した場合でも、代表相続人一人が譲渡所得税を支払えばよいということではないので注意しておきましょう。

また、不動産の売却代金は平等に分配できたとしても、相続人ごとにかかる譲渡所得税の額に差が生じることがあるため、結果的に不公平さが残ってしまう可能性があります。

具体的には、居住用の自宅を売却した場合において、譲渡所得から最高3,000万円までの特別控除が受けられる特例があり、この特例は、被相続人と同居していた相続人のみが受けられるため、同居していた相続人とそうでない相続人では譲渡所得税の額に大きな差が生まれてしまいます。

【参考】親の土地に自宅を建てた場合の遺産分割トラブル

遠方にある実家を売却する際の手続き

手続き

実家が遠方にある場合は、そのまま相続を受けたとしても維持管理が面倒になるため売却を選択する場合が多いでしょう。

もちろん遠方であっても問題なく売却手続をすることができますが、あらかじめ以下の点は注意しておく必要があります。

まず、相続登記は現地の法務局で行う必要があります。司法書士に登記手続を依頼する場合は、郵送でやり取りをして済ませることもできますが、自身で手続をする場合は法務局に自ら出向いて相談をしながら進める必要がある場合もあるので注意しておきましょう。

また、売買契約や代金決済も現地で行う必要があります。測量などで立ち会いが必要な場合もありますので、そのような負担があることも認識しておきましょう。

不動産業者や遺品整理業者などは現地に近い業者を選ぶことが多いですが、不動産業者については全国展開している業者もあるので、現住所のお近くで相談をすることも可能です。

【参考】不動産の遺産分割方法3種類
【参考】不動産相続でトラブルになる7つのパターンと解決方法

実家の売却についてお悩みなら山本総合法律事務所へ

弁護士一同

遺産分割をはじめとする相続手続は複雑な要素も多く、いざ相続が発生した場面でこれらをすべて理解することは難しいので、相続に詳しい弁護士に依頼することで、専門的な知識に基づいて適切なアドバイスを受けることができます。

弁護士法人山本綜合法律事務所は、これまで多数の相続案件を対応した実績があり、相続分野の専門的な知識・経験を有しています。

相続に際しての実家の売却にお悩みの方は、ぜひ弁護士法人山本総合法律事務所にご相談ください。

【参考】当事務所の解決事例

0120-783-981

メールでのご予約も受け付け中です。

相続・遺留分割・遺留分の無料相談。まずはお問い合わせください。

メールでのご予約も受け付け中です。