- 公開日
- 最終更新日
相続した「実家」の最適な分け方|売却して公平に分ける「換価分割」の全知識
- 執筆者弁護士 山本哲也

親が亡くなった後に相続が発生し、兄弟姉妹など複数の相続人が、「実家」である不動産を受け継ぐことになった場合、どのように分けるのが最適でしょうか。
現金や預貯金とは異なり、不動産は簡単に分割できないため、相続人同士の対立を生みやすいのが現実です。
特に「実家」は思い出や感情も伴うため、冷静な判断が難しくなることも少なくありません。
そのような状況で有効な方法のひとつが「換価分割(かんかぶんかつ)」です。
今回は、換価分割とは何か、メリットとデメリット、具体的な進め方、注意点、そして専門家である弁護士が果たせる役割までを、わかりやすく解説します。
目次
実家の相続人が多い場合によくあるトラブル

実家を相続する際、典型的に起こりやすいトラブルには次のようなものがあります。
「誰が住むのか」で揉める
相続人のうち一人が実家に住み続けたいと考えても、他の相続人は「不公平だ」と反発することがあります。住みたい人が代償金を支払って住むという形で調整する方法もありますが、代償金の算定額や支払方法をめぐって争いになることも少なくありません。
感情の対立
「長男が当然住むべきだ」「親と同居してきた自分が優先だ」など、法律とは別の価値観や感情がぶつかり、話し合いが進まなくなるケースがあります。
共有名義による管理の難しさ
実家をそのまま共有名義にすると、売却・賃貸・修繕といった重要な決定に相続人全員の合意が必要です。
人数が多いほど合意形成は困難となり、結果として、実家が「放置された空き家」になるリスクが高まります。
小括
このように、相続人が多ければ多いほど「公平に分ける」ことが難しくなります。そこで注目されるのが「換価分割」という方法です。
相続した実家を「換価分割」するとは?そのメリットとデメリット

では、換価分割とは具体的にどのような方法でしょうか。メリットやデメリットも併せて、以下で解説します。
換価分割とは?現金化して公平に分ける方法
換価分割とは、相続財産をいったん売却して現金に換え、その売却代金を相続分に応じて分ける方法をいいます。
実家のように分割しづらい不動産に適した手段で、法律上も有効な遺産分割の方法です。
家庭裁判所での遺産分割調停・審判でも、換価分割が選択されることがあります。
換価分割の主なメリット
換価分割のメリットとしては、以下のものが挙げられます。
公平に分けられる
現金化するため、各相続人は自分の法定相続分どおりに受け取ることができます。「住みたい・住みたくない」といった感情や生活状況に左右されにくいのが大きな利点です。
将来のトラブルを防げる
共有名義のまま放置すれば、管理や処分をめぐって、相続人間で争いが起こります。売却して清算すれば、相続人同士の関係をすっきり整理できます。
相続税や維持費の負担を軽減できる
空き家を維持するには固定資産税や修繕費がかかります。換価分割で早めに処分すれば、こうした費用負担を回避できます。
換価分割の注意すべきデメリット
一方で、以下のようなデメリットもあります。
思い出の実家を失う
「生まれ育った家を手放したくない」と考える相続人にとって、実家を売却してお金に変えることには心理的な抵抗が大きいでしょう。
売却価格が相場より低くなる可能性
早期に現金化するために、安く売却せざるを得ない場合もあります。また、相続人の間で意見がまとまらず時間がかかれば、市場価格が下落するリスクもあります。
売却活動の手間やコストがかかる
不動産会社への仲介手数料や測量費、リフォーム費用など、売却に付随する費用が発生します。
実家を換価分割で進める具体的な方法

実際に換価分割を進める際の流れは次のとおりです。
相続人全員で協議
まず、実家を売却して代金を分ける方針について相続人全員が合意する必要があります。
不動産会社に査定を依頼
複数の会社に実家の査定を依頼して、適正な市場価格を把握します。相続人間の不信感を避けるため、複数社の意見を比較するのが望ましいです。
売却活動の開始
不動産会社と仲介契約を結び、購入希望者を募ります。売却条件や価格の調整は、相続人全員で合意しながら進める必要があります。
売却代金の分配
売却代金から仲介手数料や税金を差し引き、残額を相続分に応じて分配します。相続税が発生する場合、売却代金の残額は、その納税資金としても活用することができます。
換価分割で後悔しないための重要なポイント

換価分割を進める際には、次の点に注意が必要です。
早めの判断が大切
空き家を放置すると建物が老朽化し、価値が下がります。換価分割を選ぶなら、相続開始後なるべく早く動き出すことが重要です。
感情面のケアを忘れない
「どうしても実家を残したい」と強く希望する相続人がいる場合は、代償分割(相続人のひとりが不動産の所有権を取得し、残りの相続人に代償金を支払う方法)や部分的な現物分割を検討するなど、柔軟な対応も必要です。
税務上の影響を把握する
売却益が出た場合には、譲渡所得税が課税される可能性があります。相続税との関係も含めて、税理士と連携すると安心です。
相続人間の信頼関係を保つ工夫を
不動産会社の選定や売却条件の決定は、相続人全員が納得できるプロセスを踏むことが後々のトラブル防止につながります。
換価分割を円滑に進めるために弁護士ができること

換価分割は、シンプルに見えても、実際には相続人同士の意見調整や法的な手続きが絡み、紛争化するリスクがあります。弁護士に依頼することで、次のようなサポートが受けられます。
法的アドバイスと手続き支援
換価分割が適切かどうか、他の方法(代償分割・共有分割)との比較を含めて助言し、相続人の利益を守ることが可能です。
交渉の代理
相続人間の感情的な対立が激しい場合、弁護士が間に入り交渉を代理することで冷静な話し合いが可能になります。
調停・訴訟への対応
他の相続人から換価分割の合意が得られない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停・審判を行うことになります。弁護士が代理人となり、適切な主張をしてもらうことができます。
不動産業者や税理士との連携
不動産の売却や税務処理には、専門家の関与が不可欠です。弁護士に依頼すれば、弁護士が窓口となって、不動産業者や税理士と連携して、ワンストップで対応できる体制を整えることが可能です。
実家の換価分割のご相談は弁護士法人山本総合法律事務所へ

実家の相続は、財産的な価値だけでなく、家族の思い出や感情が深く絡むため、他の財産よりも紛争に発展しやすいものです。
換価分割は、実家を現金化して公平に分ける合理的な方法であり、トラブルを避けるための有力な手段となります。
ただし、感情的な対立や税務面の負担など、デメリットもあるため、慎重な検討が必要です。
後悔しないためには、早めに専門家に相談し、公平で納得できる形を見つけることが大切です。
弁護士法人山本総合法律事務所は、遺産分割における換価分割に対応して実績が豊富です。様々な知見のある弁護士がみな様をサポートいたします。
実家の遺産分割でお悩みの方は、ぜひお早目にご相談ください。
