10年前に行った母の遺産分割協議を無効とし、父と母の遺産について改めて遺産分割協議を行った事例
- 執筆者弁護士 山本哲也
事件の概要
事件の種類 | 遺産分割 |
解決方法 | 調停 |
相続人 | 相談者を含め3名 |
相続財産 | 不動産、預貯金 |
相談の経緯
ご依頼者を含む相続人らの母が10年前に亡くなり、遺産分割協議が成立しました。
ところが、10年後に父が死亡した際に、母の遺産分割協議の際に相続人のうちの一人がすべての遺産内容を開示していなかった事が判明しました。明らかにされたのは遺産総額の半分以下であり、残りの遺産はその一人がすべて受け取っていました。
この時の遺産分割自体が存在しなかったものとして、父の遺産分割協議と一緒にやり直すのかどうかが問題になっていました。
10年前の遺産分割協議が無効か否かという大きな法律問題を抱えていたこともあり、相続人間では話し合いが平行線のままで進まないということで当方に依頼となりました。
関連リンク:【Q&A】遺産分割協議後に未分割の遺産が見つかった場合、分割協議の効力はどうなりますか?
解決方法
母の遺産分割協議が存在していたか否かについては、基本的には調停で解決できず、訴訟を提起する事になります。その場合、解決まで長い期間が必要となってしまいます。
早期解決の観点や立証資料の観点から、なるべく調停の中で解決することに集中し、相手方が10年前に終了していると主張する母の遺産分割協議において、遺産の一部しか開示していなかったため無効である点を主張しました。
また、ご依頼者が、父の相続財産から不当に利益を得ているとして相手方から特別受益の主張がされていました。この点についても、領収証や依頼者が保管していた当時の日記等をもとに詳細に支出費目や金額を整理して反論しました。
その結果、10年前の母の遺産分割協議が不存在(無効)であったことや、当方の依頼者に特別受益はないという前提で、無事に調停で遺産分割協議が成立しました。
解決のポイント
遺産分割協議の不存在を訴訟で争うと、紛争が長期化する可能性がありました。
また、10年前の出来事であり立証資料にも限界があったことなどからすると、訴訟に発展してしまうとこちらに不利な内容で終結してしまうおそれもありました。
調停手続きの中で事実上遺産分割協議が不存在であったことを前提に解決でき、適切な取り分を獲得できましたので良い結果になったと思います。
関連リンク:遺産分割でお困りの方へ
※本件は当事務所でご依頼をお受けした案件ですが、関係者のプライバシー保護等の配慮のため、案件の主旨を損ねない範囲で事実関係を一部変更している箇所がありますのでご了承ください。
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