遺言書がなく、一部の相続人が遺産を独占しようとしていたものの、協議により代償金の支払を受けた事例
- 執筆者弁護士 山本哲也
事件の概要
事件の種類 | 遺産分割 |
解決方法 | 協議 |
相続人 | Aさん(ご本人)を含めて4名 |
遺言書 | なし |
相続財産 | 不動産、預貯金等 |
相談の経緯

被相続人の死亡後、一人の相続人が「自分がすべてを相続し、他の相続人には代わりのお金の支払もしない」と主張。
遺言書が残されていなかった事もあり、相続人間の揉めごとに発展し、話がどんどん大きくなってしまったため「専門家の意見を聞きたい」とご相談にいらっしゃいました。
ご相談後、まずは遺産調査でのご依頼を受け、調査終了後に改めて遺産分割でのご依頼となりました。
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解決方法

財産調査を実施したところ、当初は無いものとされていた預貯金や、自宅以外の不動産など、依頼者が存在を知らない財産が発見されました。
念のため相手方にも財産の開示を求めたところ、財産一覧の資料が開示されましたので、内容に関して質問等を行いこちらの調査結果と差異が無いかの確認をしました。
その後、資料を基に遺産分割協議を行い、双方の主張を考慮した上で、依頼者に対し代償金を支払う内容での協議が成立しました。
その後、協議書を作成し、無事解決に至りました。
解決のポイント

遺言がない場合には、遺産分割協議を行う必要がありますが、本件のように1人の相続人が遺産を独占し、他の相続人には何も支払わない(渡さない)ということはままあります。
相続人間でそのような分割方法に合意するのであれば何ら問題はありませんが、そうでない場合には、1人の相続人が勝手に分割方法を決めることはできません。
ましてや、他の相続人に何も支払わない(渡さない)との主張は、基本的に認められるものではありません。
もし、上記のような主張をする相続人がいるような場合には、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
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※本件は当事務所でご依頼をお受けした案件ですが、関係者のプライバシー保護等の配慮のため、案件の主旨を損ねない範囲で事実関係を一部変更している箇所がありますのでご了承ください。
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