遺産相続を弁護士に相談すべき11の状況

執筆者
弁護士 山本 哲也
遺産相続の模型

相続手続きは非常に複雑なので、迷ったときには専門家にアドバイスを求めるのが得策です。

ただ弁護士などの専門家は一般にハードルが高いと思われているケースも多く、相談に躊躇してしまう方もいるでしょう。

実際の弁護士は、小さな疑問や不安にも応えてくれるものです。

遺産額が少額でも問題ありませんので、気負わず気軽に相談しましょう。

今回は遺産相続を弁護士へ相談すべき11の状況をお伝えしますので、相続人の立場になった方はぜひ参考にしてみてください。

遺産相続を弁護士に相談すべき11の状況

次の状況が発生している場合、弁護士に相談すべきです。

  • 相続手続きの手順がわからない
  • 遺産分割がスムーズに進まない
  • 遺産分割協議書を専門家に作成してほしい
  • 納得のいかない遺言がある
  • 被相続人に借金や負債が発覚した
  • 相続人の中に行方不明者がいる
  • 相続人の中に認知症の人がいる
  • 相続人が海外に居住している
  • 遺留分を請求したい
  • 使い込みが発覚した、あるいは疑われている
  • 相続人の中に未成年がいる

以下それぞれについて詳しくご説明します。

1.相続手続きの手順がわからない

クエスチョンマーク

相続手続きは複雑です。自分たちだけでは何からはじめてよいかわからない方も多いでしょう。

たとえば相続人調査には非常に手間がかかりますし、遺産内容の調査で漏れがあると、後日の遺産分割の際にトラブルになってしまう可能性もあります。相続放棄など、期限のある手続きも少なくありません。

相続手続きの正しい手順がわからないなら、弁護士へ相談しましょう。

弁護士には手間のかかる手続きをまるごと任せることも可能ですし、依頼すれば期限を過ぎてしまうリスクも低減されます。

2.遺産分割がスムーズに進まない

住宅に関して迷う夫婦

他の相続人と遺産分割協議をしても、スムーズに進まないケースはよくあります。

  • 連絡をとりにくい、無視されてしまう
  • もともと仲が悪いのでお互いに感情的になって話が進まない
  • 遺産の分け方について意見が合わず、険悪になってしまった
  • 遺産分割協議が決裂した

どうしても話し合いで解決できないなら、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てなければなりません。

遺産分割でもめてしまいそうなら、早めに弁護士へ相談しましょう。

弁護士ならトラブルの解決も任せられる

弁護士であれば本人の代理人として交渉できますし、調停や審判も有利に進めやすくなります。

なお本人の代理人として交渉や調停、審判を進められるのは、数ある専門家の中でも弁護士のみです。司法書士、行政書士などの他士業には代理権が認められません。

これらの専門家に相談しても、トラブルが起こった時点で弁護士に相談するよういわれてしまいます。

遺産分割関係でトラブルが予想されるなら、はじめから弁護士に相談するのがコスト的にも手間を削減するためにも得策といえるでしょう。

3.遺産分割協議書を専門家に作成してほしい

遺産分割協議書

遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成しなければなりません。

ただ自分たちだけでは正しい作成方法がわからないケースもよくあります。

遺産分割協議書の作成方法を誤ると不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなどを受けられなくなる可能性もあります。

自信がない場合には、弁護士へ作成を依頼しましょう。

4.納得のいかない遺言がある

遺言書

「遺言書があるけれども無効ではないか?」と考えられるケースもよくあります。

たとえば遺言書の要式を満たしていない場合、内容面で不審点がある場合、遺言者が遺言当時に認知症になっていた場合などです。

遺言書が無効であることを確認するには、他の相続人や受遺者と話し合わねばなりません。

合意できなければ調停や訴訟が必要になります。

自分たちだけで解決しようとしても難しいケースが多いので、早めに弁護士へ相談しましょう。

5.被相続人に借金や負債が発覚した

請求書と支払い

被相続人が負債を負っていた場合、相続人へ引き継がれてしまいます。

遺産から完済できない場合、相続人は自分の財産から支払いをしなければなりません。

引き継がれるのは借金だけではなく、一身専属的なものなどを除いたほとんどすべての負債です。

【相続される負債の例】

  • カードローンや消費者金融、クレジットカードなどの借金
  • 奨学金
  • 事業用ローン、車のローン、教育ローンなど
  • 滞納家賃
  • 滞納水道光熱費
  • 滞納通信料
  • 滞納しているNHK料金
  • 事業者の買掛金やリース代
  • 連帯保証債務
  • 滞納税、滞納保険料

高額な負債を相続してしまったら、相続人が破産せざるを得なくなるリスクも発生します。

借金やその他の負債を相続したくないなら、「相続放棄」や「限定承認」の申述をしなければなりません。

相続放棄には期限がある

これらの手続きには期限があるので、過ぎてしまわないように注意すべきです。

弁護士に相談すれば、借金や負債の調査方法を確認できますし、相続放棄や限定承認の手続きや債権者との交渉も任せられます。

借金を相続したくないなら、早めに弁護士へ相談しましょう。

6.相続人の中に行方不明者がいる

ルーペを持つ男性

相続人の中に行方不明者がいても、本人を無視して遺産分割を進められません。

遺産分割協議には、相続人が全員参加しなければならないからです。

不在者財産管理人の選任

行方不明の相続人がいる場合には、その人の「不在者財産管理人」を選任しなければなりません。不在者財産管理人とは、行方不明者の代わりに財産を管理する人です。家庭裁判所へ申請して選任してもらいます。

不在者財産管理人が選ばれると、その人をまじえて遺産分割協議を進め、遺産分割協議書を作成できます。

失踪宣告

あるいは行方不明になって7年以上が経過している場合、失踪宣告する方法もあります。

不在者財産管理人を選任するか失踪宣告のどちらが良いのかは、状況によって異なり、いずれも裁判所での手続きを要します。

ご自身だけで判断すると予想外の状況が発生してしまう可能性もあるので、弁護士へ相談してベストな対応をしましょう。

7.相続人の中に認知症の人がいる

車椅子

相続人の中に認知症の方がいる場合、そのままご本人を交えて遺産分割協議を進めると高いリスクが発生します。

認知症が進行していると、有効に遺産分割協議を行うだけの「意思能力」がないと判断される可能性があるためです。

意思能力とは、自分の行為の意味がわかって有効に法律行為を行うだけの事理を弁識する能力(事理弁識能力)をいいます。

成年後見人の選出

認知症が進行して意思能力すら失われていたら、本人は単独で遺産分割協議を進められません。家庭裁判所で「成年後見人」を選任する必要があります。

成年後見人とは、判断能力の低下した人の代わりに財産を管理したり身上監護を決定したりする人です。成年後見人がいれば、成年後見人が本人の代理で遺産分割協議を進められるので、有効な遺産分割協議書を作成できます。

弁護士が成年後見人の申立をサポートしたり、場合によっては弁護士自身が成年後見人にもなったりもできますので、お困りの際にはご相談ください。

8.相続人が海外に居住している

飛行機の模型

相続人が海外に居住していて日本に住民票がない場合、実印や印鑑登録がありません。

遺産分割協議書によって不動産の相続登記をする際には、相続人全員の実印と印鑑登録証明書が必要です。海外居住の相続人がいると、そういったものを用意できないので遺産分割協議書を作成するのが難しくなってしまいます。

この場合、在外公館などで「サイン証明書」という証明書を入手し、遺産分割協議書へ添付する必要があります。

海外居住の相続人がいると、国内の相続人のみのケースと比べて手続きが複雑になりがちなので、弁護士へ相談しましょう。

9.遺留分を請求したい

配分

遺言や贈与によって遺留分を侵害されたら、相手へ遺留分侵害額請求ができます。

そのためには遺留分侵害額を正確に計算しなければなりません。遺産の評価方法や遺留分割合についての知識が必要です。また相手との交渉の過程でトラブルになってしまう可能性もあります。

自分で対応するとスムーズに遺留分侵害額を払ってもらいにくい場合も多いので、まずは弁護士へ相談しましょう。弁護士が代理で遺留分侵害額請求の交渉や調停、訴訟などにも対応できます。

遺留分侵害額を請求されて困惑してしまった方にも弁護士がお力になりますので、お気軽にご相談ください。

10.遺産の使い込みが発覚した、あるいは疑われている

預金通帳

被相続人と同居していた相続人などによる遺産使い込みが発覚すると、熾烈な相続トラブルが起こりがちです。

相手が使い込みを認めない場合、訴訟を提起しなければならない可能性もあります。

一方で、同居の相続人が使い込んでいないのに、他の相続人から疑われるケースも少なくありません。

使い込みトラブルが発生したら、すぐに弁護士へ依頼しましょう。問題点を整理してスムーズに解決しやすくなります。

弁護士に交渉を依頼すれば、自分たちで直接話し合う必要がないので感情的な対立を防げますし、法的に妥当な解決方法を実現しやすいメリットもあります。

11.相続人の中に未成年がいる

授業を受ける高校生

相続人の中に未成年者がいる場合にも弁護士へ相談しましょう。

親権者と未成年者が両方とも相続人になる場合、親権者は未成年者を代理して遺産分割協議を進められません。親権者と未成年者の利害が対立してしまうためです。

この場合、未成年者の特別代理人を選任しなければなりません。

未成年者が複数いる場合、それぞれについての特別代理人が必要です。

親権者が未成年者の代わりに相続放棄できないケースもあります。

未成年者が含まれているときに間違った対応をすると思わぬ不利益を受ける可能性があるので、事前に弁護士へ相談して適切な相続手続きの進め方を確認しておきましょう。

まとめ

山本弁護士

いかがでしたでしょうか。

相続手続にはケースに応じて適切な対応を取らないと、後で損をしてしまったり、遺産分割のやり直しをしなければいけなかったり、親族同士で深刻な揉め事に発展していまったりと、リスクを伴います。

トラブルになる前に専門家に相談して適切に対処しましょう。

山本総合法律事務所にご相談されるお客様の多くは「法律事務所は初めて」という方です。初めての方でも安心してご相談いただける法律事務所ですので、まずはお気軽にお問合せください。

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